2003-10-22 絶望と希望のあいだ。

_ 転居して

約1年が経ち、ここのところこちらでの生活にだいぶ慣れたようだ。

慣れというのはありがたいもので、以前ならいろいろとストレスに感じていたような出来事にも

平静に対処できるようになった。

その反面、多少の退屈を感じないでもない。

もともと安定と退屈はコインの裏表なのだから無理もないけれど、

平静な暮らしではやはりどこかもの足りないような気がする。

_ せっかく生きているのに

感動や感激と無縁の人生ではもったいない、

人生は感動の連続であるべきだとぼくは思う。

どうしたらそんな波乱万丈の暮らしが出来るのだろう、

そんなふうに真剣に模索して、とうとう一つの答えに到達した。

キーワードは、中南米。

_ 中南米の男、

いわゆるラティーノたちの情熱的な生き様を見よ。

彼らは嬉しいときには夜どおし踊り、

悲しいときには心の底から涙を流す。

奈落よりも深い絶望と、

太陽よりもまぶしい希望を抱え、

中南米の男は今日も血をたぎらせて生きている。

この地球の裏で。

_ 彼らの

生き様を真似れば、ぼくの退屈な日常も一変するはずだ。

そう確信したぼくは、ちょっと前からラティーノたちの生き方を真似し始めた。

その効果はみるみる現れて、

ぼくは今では絶望と希望とあいだで日々を送っている。

_ 今日もまた、

絶望と希望のあいだで一日が終わろうとしている。

奈落よりも深く、漆黒よりも暗い絶望と、

太陽よりもまぶしく、天空にも昇る希望のちょうど真ん中、

つまり可もなく不可もない普通の日々が、こうして淡々と続いていく。