同僚の、最後の出勤日。
わずか半年だけのつきあいだが、いつでも別れはさびしいものだ。
毎日あたりまえに接していた人々が、今日を境にいなくなる。
明日からはまた別の場所で、その人の生活が始まるわけだが
そこではもう、ぼくは無関係の存在となってしまう。
そんな言葉でやり過ごすことができるほど強くはないけれど、
せめて別れのさびしさを直視する強さを持ちたいとは思う。
言っているそばから少しばかり感傷的になり、
わけもなくコーヒーなど入れてみたり。
それぞれの場所での新たな生活のため、みんな旅立ってしまった。
ぼくは一人取り残されて、こうしてこの場でうずくまっている。
出会った分だけ別れは用意されているが、
別れた分だけ新たに出会えるんだろうか。
そして失う。
失って、得て、失って、得て。
結局それの繰り返しだ。
たった一人でこの世に生まれ出て、いつの日かたった一人でいずこかへ去る。
その間に、たくさんの人と出会い、おんなじだけの数の人と別れる。
すべては差し引きゼロの、過程の出来事にすぎない。