2003-05-30 ILL COMMUNICATION.

_ 相変わらず

喉がいたい。

具合が悪く顔色が青白いので、周囲からは

「病みのパープル・アイ」とか呼ばれている。

そうかと思うと体がぼろぼろなので「病み・ボロ」とか、

何度も何度も風邪ひいているので「風邪のまた三郎」とか。

とかく世間というものは病人に冷たいものだ。

_ だいたい昔から

友にするのに悪き者、病なく身強きもの、

と相場が決まっている。

自分が体が丈夫な人というのは、自分が病気になったことがないものだから

他人の苦しみに無頓着である。

「ああそう、風邪ひいたんだ、大変だねー」くらい言えれば上出来で

「たるんでるんじゃないの」「気合が足りない」

などなどと訳のわからない説教を垂れてくるのが普通。

健全な肉体に健全な魂が宿る、

というのが如何に大嘘であるかががよくわかる。

_ それにしても

喉が痛い。

ぼくは元々無口なほうだからいいが、

歌ったりしゃべったりするのが仕事の人は

風邪などひいたらつらいだろうなあ。

そんなことを考えながら、

上沼恵美子のように黙って

物静かに仕事を続ける。

_ 同病相哀れむ

などともいい、自分が病気の人というのは

相手の痛みもよくわかるものである。

お互いに病気のつらさがわかるので、相手に優しくなれるのだろう。

ということは、風邪をひいた人たちが集まった場というのは

ものすごく心温まる雰囲気なのではないだろうか。

風邪ひきだらけの居酒屋飲み会とか。

_ 「咳、

つらそうだけれど大丈夫ですか?」

「あなたこそ、体だるそうですよ。」

「わたしは大丈夫だから、あなた少し休んでいたらどう?」

「すみませんねえ、わたしの風邪薬、お分けしますよ。これ、効くんですよ。」

「どうもどうも、じゃあお礼にわたしの解熱剤を。」

「ああ、どもども。あ、なにか追加注文します?」

「じゃあ、このスタミナレバー炒めを一つ。体力つけないといけませんからな。」

「それ注文しましょう。すいませーん、スタミナレバー炒め一つ、追加。

それと、うがい薬ピッチャーで。」

ああ、なんと心温まる光景だろうか。

ていうか鼻水出てるよ。

_ そんなわけで、

風邪ひいた今、

ぼくはとても心優しく、思いやりにあふれ

他人の痛みや苦しみに無限の理解を示す、菩薩の心境だ。

言うなれば、マザーテレサかガンジーか、

まさに現代の聖者と言えよう。

こんなぼくは、友とするのに最適な男である。

嘘だと思うなら是非遊びに来るといい、

心よりお待ち申し上げる。

風邪はうつせば治るって言うし。